太宰治の未完の絶筆『グッド・バイ』を元にして、北村想が書き下ろした新作戯曲。原作を生かしつつ、独自の世界を展開して趣深い舞台でした。面白かったです♪
シス・カンパニー公演 日本文学シアター Vol.1 「太宰治」 脚本:北村想 演出:寺十吾 出演:段田安則、蒼井優、柄本佑、 半海一晃、山崎ハコ、高橋克実 会場:シアタートラム 日時:12月6日(金)19:00~ 太宰治の『グッド・バイ』を初めて読んだとき、「えっ、ここで終わり?」「続きが読みたい!」と強く思ったものです。北村想さんの創作では続きはどうなるのかと興味津々で劇場に向かいました。 大学で哲学とミステリー文学を教える黄村先生(段田安則)には愛人が8人いる。 助手の渡山(柄本佑)の提案で、黄村先生は愛人たちとの関係を清算するために ある計画を実行することになった。若く美しい娘(蒼井優)を雇い、一緒に愛人の元を訪ねて「この人と結婚する」と告げて諦めさせようという作戦だ。計画は順調に進み、あと一歩というところまで来たように見えたが..... 以下、感想です(ネタバレ注意)。 脚本は太宰の原作の設定を巧みに用い、太宰の他の作品も取り入れて、 その上で独自の展開を膨らませている。 秘書の面接の場面で、理七(蒼井優)が登場してからしばらく向こうを向いていて、 なかなか言葉を発しない。太宰の原作で理七に該当する人物は絶世の美女だが 非常な悪声(鴉声)と言われていて、その声が早く聞きたいと期待(?)が高まる。 そしてついに理七が発した河内弁が強烈だった。 黄村先生と理七は屋台の飲み屋に立ち寄る。2人の会話に屋台の主人(半海一晃)、 太宰気取りの文士(高橋克実)が加わり、屋台には流しの女(山崎ハコ)もいる。 2人は計画を順調に進めていくが、その過程で理七は黄村先生の亡き妻への深い愛情に気付く。実は理七は助手の渡山の婚約者なのだが、黄村先生のことが気になっていく..... 段田安則さんが本当に上手い。1人芝居もこなし、やはり声が素敵。 蒼井優さんが河内弁を話す豪傑と標準語で淑やかな女性を見事に演じ分けていた。おでん屋台の主人は客の訳ありのことには首を突っ込まないが、ここぞというところでさらりとアドバイスをする。半海一晃さんが絶妙な演技を見せる。高橋克実さんは面白いキャラクターで声がよく通り、存在感があった。 舞台は昭和の雰囲気。懐かしさとぬくもりがある。舞台美術は昭和の漫画のような感じ。山崎ハコさんが歌う劇中歌「夜の日傘」(詞:北村想、曲:山崎ハコ)は劇の内容に沿っている。視覚的には日傘が印象的で、「夜に春を呼んでこい」という歌詞が耳に残った。 後半は理七の黄村先生への思いや黄村先生は理奈に前妻の面影を重ねているのに踏み出せないのがもどかしい。屋台の主人の示唆を得て、黄村先生はようやく理七を追いかける..... 中盤までは結構笑えて、終盤は切ない気持ちになりました。
by moonlight124
| 2013-12-19 00:50
| 舞台
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by moonlight124
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